給湯器が「ゴー」「キュルキュル」「カンッ」「ボンッ」といった音を出すと不安になりますよね。 本記事では、音や振動の原因を「どこで」「いつ」「どんな音がするか」に分けて徹底的に解説します。 安全に確認できる範囲の一次対応から、業者へ依頼すべき判断基準、そして修理・交換の費用目安までをわかりやすく紹介します。
家庭用ガス給湯器(壁掛け型)は、バーナー・熱交換器・送風ファン・燃焼制御基板・循環ポンプ・各種弁などで構成されています。 音や振動の多くは「燃焼系」「送風系」「水流系」「金属膨張」の4つに分類できます。
まずは「どの系統の音なのか」を意識して観察すると、原因を素早く絞り込めます。 例えば「お湯を出した瞬間だけ音がする」「追いだき中に鳴る」「止水後にドンと音がする」など、条件をメモする習慣が役立ちます。
着火時にガスと空気の混合が遅れると、一瞬ガスが溜まり小爆発のような音を出します。 主な原因は点火電極の汚れ・電極間隔のズレ・風の影響など。頻発する場合は部品交換や調整が必要です。
燃焼中に送風ファンが回る音は通常ですが、過剰に大きい場合はファン軸の摩耗・異物混入・排気抵抗増大などが考えられます。 風が強い日だけ鳴る場合は、逆風による排気不良が原因のことも。
回転部品の摺動音やシール鳴きが多く、送風ファンのベアリング摩耗やポンプ内のエア噛みが原因。 放置すると軸焼けなどの二次故障に繋がるため早めの点検が必要です。
本体や配管が加熱・冷却で膨張収縮すると、金属が歪んで音が鳴ります。 通常は問題ありませんが、固定バンドの締めすぎや配管経路の無理があると増幅するため、緩衝材の追加で改善できます。
有名なウォーターハンマー(配管内の水撃作用)です。 急に水を止めると圧力波が配管を伝わり、弁や熱交換器に衝撃が加わります。 止水栓や減圧弁の調整不良・ハンマーアレスター未設置が多い原因です。
次のような症状があるときは、自己分解や応急改造は避け、ただちに使用を停止して専門業者へご相談ください。
ガス・排気・電気の系統は有資格者の作業領域です。誤った対応は重大事故につながるため、無理は禁物です。
音の発生タイミング(点火/燃焼中/停止直後)、天候(無風・強風・雨)、給水状況(夜間・朝)、どの蛇口使用時か、音量の体感などをメモします。スマホの動画やボイスメモも有効です。
吸気口・排気口の落ち葉・虫・ほこりを除去。屋外ユニット内部へ風で入った砂塵や蜘蛛の巣も音の原因になります。水洗いは避け、柔らかいブラシや布で乾拭きします。
壁掛け金具のビスを増し締めし、緩みを解消。配管バンドと壁の間に薄いゴム片などのクッションを噛ませ、配管が壁に面接触しないよう当たりをずらします。屋外の金属物同士が触れて鳴るケースも要確認。
急閉止を避け、レバーやサーモの操作をゆっくり行う習慣を。止水栓が全開すぎると圧力波が強くなることがあり、わずかに絞って様子見します。長期的にはアレスター設置や減圧弁調整が有効です。
浴槽の水位を循環アダプタ上まで上げ、数分間循環運転してエアを追い出します。改善しない場合は配管内のスライム・湯あか堆積の可能性が高く、洗浄が効果的です。
取扱説明書に沿って電源を入れ直し、表示パネルのエラーコードを確認します。エラー履歴は点検時の重要な手掛かりになります。
主原因 | 代表症状 | 自分で試せること | 業者対応の例 |
---|---|---|---|
点火系の遅れ | 点火時の「ボッ」「ボン」 | 強風時の使用を控える・周辺清掃 | 電極清掃・ギャップ調整・ガス圧確認 |
送風ファン摩耗 | 「ウーン」「キュルキュル」+振動 | 吸気口清掃・共鳴対策 | ファンユニット交換・軸受点検 |
熱交換器目詰まり | 燃焼音増大・効率低下 | —(分解不可) | 薬剤洗浄・熱交換器交換 |
ウォーターハンマー | 止水直後の「ドン」「ガン」 | ゆっくり止水・止水栓微調整 | アレスター設置・配管支持補強・減圧弁調整 |
ふろ循環不良 | 追いだきの「ボコボコ」 | 水位アップ・エア抜き | 配管洗浄・三方弁/ポンプ交換 |
設置環境の風影響 | 強風日の「ボーボー」「ヒュウ」 | 植栽や落ち葉の整理・周辺物の固定 | 防風フード化・位置見直し(基準適合) |
角地や高層階、海沿いでは風の影響が強く、排気口で乱流が起きて風鳴りが発生しやすくなります。木造で柱間が広いと壁が共振しやすく、振動が家屋全体へ伝わることもあります。
「音がする=必ず故障」ではありませんが、逆に危険な兆候を見逃すのも禁物です。次のNG例に注意してください。
給湯器の設計標準使用期間は概ね10年。これを超えると部品供給が難しくなり、修理が割高になりがちです。燃焼・熱交換器系の異音は複合劣化との戦いになりやすく、更新で一気に静音・高効率化する選択も現実的です。
地域・機種・設置条件により変動します。あくまで参考レンジとしてお役立てください。正確な金額は現地見積りでご確認を。
掲載している料金はあくまで目安です。症状や原因・使用部材や作業内容により異なるります。正確な金額は見積り時に確認してください。
2階キッチンの止水時に毎回「ドン」。縦管の固定不足と急閉弁が重なっていました。止水栓を微調整し、ハンマーアレスターを設置、要所の配管バンドを追加して衝撃を吸収。体感でほぼ無音に。
角地・海沿いの住宅で、風向きによって排気口が風鳴り。メーカー基準内の防風フードに交換し、周辺の金具と壁の接触点をクッションで絶縁して共鳴を抑制。以降は静粛に運転。
循環配管内にスライム状汚れが堆積。薬剤循環洗浄と三方弁の点検で流量が回復し、沸騰音が消失。追いだき時間も短縮され、光熱費の体感も改善しました。
冬は給水温度が低いため燃焼負荷が上がり、送風音が大きく感じやすくなります。凍結防止運転の作動音も増えます。水質が硬めの地域ではスケール付着が進行し、熱交換器でボコボコ音が出やすくなります。年1回の点検洗浄を検討しましょう。
たまに軽く鳴る程度なら様子見可。ただし頻度・音量が増える/失火やエラーが出る場合は点検を。
排気・吸気・放熱が必要な機器のため市販ボックスの流用は危険。メーカー基準に適合した専用品のみ使用します。
集合住宅などで夜間に給水圧が変動し、減圧弁や止水栓のシート振動が発生することがあります。弁の点検・調整で改善が見込めます。
排気口の乱流や逆風が原因の可能性が高いです。近接物の整理、防風フード化、設置位置の見直しで抑制できます(基準適合が前提)。
給湯器の異音・振動は、燃焼・送風・水流・熱応力・共鳴のどの系統かを把握することで解決に近づきます。安全を最優先しながら一次対応で切り分け、必要に応じて設置環境の是正や部品交換・更新を検討しましょう。軽微な段階での対応ほど費用も抑えやすく、日常の安心感も高まります。
症状が出る条件(時間・天候・動作)をメモし、写真や動画を添えて専門スタッフに共有するだけで、診断は格段に早く確実になります。