
ニュースなどで「導水管の破裂」「導水管のトラブル」という言葉を耳にすることがあります。導水管は、私たちの蛇口に水が届くまでの流れの中で、水源から浄水場へ水を運ぶ“水の大動脈”のような存在です。大規模な断水につながることもある重要な設備ですが、普段の生活の中ではあまり意識されることがありません。
導水管(どうすいかん)とは、ダム・河川・地下水などの水源から、浄水場まで水を運ぶための大規模な水道管のことです。ここを流れているのは、まだ消毒やろ過をしていない「原水(げんすい)」であり、浄水場で処理されて初めて飲み水として利用できるようになります。
家庭の蛇口に水が届くまでの流れを簡単に表すと、次のようになります。
水源(ダム・河川・地下水など)→導水管→浄水場→送水管→配水池→配水管→各家庭・建物
この中で導水管は、最も上流側に位置する重要な管路であり、ここにトラブルが起きると広範囲に影響が出るのが特徴です。
導水管には、次のような役割があります。
どれだけ蛇口をひねっても、そもそも導水管が水を運んでくれなければ水は出ません。普段は目に見えませんが、生活インフラを支える重要な設備です。
導水管には、一般家庭の水道管とは大きく違う特徴があります。
導水管は水道システムの最上流にあるため、ひとたび破裂や漏水が起きると、影響は広い範囲におよびます。
テレビで報道されるようなケースでは、「導水管の破損=地域全体の水を支える大動脈が損傷した状態」と考えるとイメージしやすいでしょう。
導水管は強度の高い素材で作られていますが、長い年月の中でさまざまな要因が重なると、破裂や漏水につながることがあります。
水道には似た名前の設備がいくつかあるため、「導水管と送水管は何が違うの?」と疑問に思う方も多いかもしれません。役割の違いを整理すると、次のようになります。
| 名称 | つないでいる場所 | 流れている水 |
|---|---|---|
| 導水管 | 水源 → 浄水場 | 原水(未処理の水) |
| 送水管 | 浄水場 → 配水池 | 浄水(処理済みの飲み水) |
| 配水管 | 配水池 → 各家庭・建物 | 浄水(蛇口から出る水) |
簡単にまとめると、水源と浄水場をむすぶ大動脈が「導水管」、浄水場から街へ送る管が「送水管」、街の中で細かく水を分ける管が「配水管」というイメージです。
導水管は、ダムや川などの水源から浄水場へ水を運ぶ、生活インフラの要となる設備です。直径が大きく長距離にわたって埋設されているため、ひとたび破裂や損傷が起きると、広い範囲で断水が発生し、復旧にも時間がかかります。
ニュースで「導水管が破裂した」「導水管にトラブルが発生した」と報じられるときは、地域全体の水の供給ルートに大きな問題が生じているという意味を持っています。普段は目にすることのない設備ですが、私たちの暮らしを支えているとても重要な存在です。
