
水道の基礎知識設備設計屋内設置
    水道メーターを建物内に設置する場合、屋外とは異なり凍結防止・作業性・周囲環境との安全距離など多くの要素を考慮する必要があります。
    集合住宅やビル内の配管スペースに設置されるケースも増えており、設計段階からの適切な対策が欠かせません。ここでは、屋内設置時に注意すべきポイントを解説します。
  
    建物内への設置は、外気や降雪の影響を受けにくく、盗難・損傷・悪天候下での検針トラブルを防げるという利点があります。
    特に集合住宅や商業ビルでは、外部配管スペースが限られるため、配管シャフト内やパイプスペースに設置されるケースが多く見られます。
  
    屋内設置であっても、外気の影響を受けやすい配管スペースや北側・床下などでは凍結のリスクが残ります。
    凍結による膨張破損や漏水を防ぐためには、断熱材や防寒カバーの施工が必要です。
  
・メーター外周を発泡ポリスチレン(EPS)や保温材で覆う
・外壁に面したシャフト内では防寒シート・保温ヒーターを併用
・凍結防止栓(自動排水式)を活用し、低温時の水抜きを行う
    水道メーターは定期的な検定満期取替え(一般的に8年ごと)が必要なため、交換や点検が容易に行えるスペースを設計段階から確保しておくことが重要です。
    狭い配管スペースでは、作業効率の低下や接続部の損傷リスクが高まります。
  
・メーター前後に200mm以上の作業スペースを確保
・計量部やパッキンの交換に工具が差し込める余裕を持たせる
・点検口を設けて、メーターバルブの操作や漏水確認が容易にできるようにする
    屋内の配管スペースには、ガス管・電線管・排水管などが集中することがあります。
    これらの設備と隣接してメーターを設置する場合は、安全距離と保守性を確保する必要があります。
  
・ガス配管との距離を確保し、保守作業時の工具接触を防止
・電気配線は絶縁カバーを施し、感電リスクを防止
・排水管と重ならない位置に設けて湿気・腐食を防ぐ
    水道メーターの取付け高さは、検針のしやすさと保守安全性の両方を考慮して決定します。
    床面から300〜1,200mmの範囲内が一般的で、メンテナンス作業が安全に行える高さを基準とします。
  
・立作業での検針が可能な高さを設定
・過度に低い位置は湿気・虫害・漏水リスクが高まる
・地震時の転倒防止として固定金具やバンドを併用
    水道メーターを建物内に設置する場合は、凍結防止・作業スペース・他設備との距離を十分に考慮し、安全で効率的な配置を行うことが基本です。
    断熱材の施工や点検口の設置など、将来的な保守を見据えた設計が重要になります。
  

