
水道の基礎知識給水管の保全異物・スケール
給水管の内部には、長年の使用によりスケール(赤錆)や砂・鉄粉などの異物が堆積することがあります。これらは水の流量を低下させるだけでなく、給水器具やメーターのストレーナを詰まらせ、出水不良や水質変化(赤水)を引き起こす要因にもなります。この記事では、給水管内に発生する異物の種類と原因、点検・清掃の方法、予防のポイントを解説します。
・スケール(赤錆):亜鉛めっき鋼管・鋳鉄管の内面で酸化反応が進行して生成。長期使用で管径を狭め、流量低下や赤水の原因に。
・鉄粉・金属片:工事時の切削くずや工具摩耗によって混入することがある。
・砂・泥:配水管工事後の通水時に流入し、ストレーナや弁部に堆積。
・微生物スライム:滞留・低流速区間でバイオフィルム状に付着するケースも。
① 経年劣化による内部腐食:亜鉛めっき鋼管や鋳鉄管は年月とともに酸化膜が剥離し、赤錆が発生。
② 断水・工事時の混入:配水管工事後の通水時に砂やスケールが流入。
③ 流水方向・圧力の変化:通水圧の変化で内部の錆や堆積物が剥離し、水に混ざる。
④ 低流速区間の滞留:使用頻度の低い支管や末端配管で沈殿・堆積。
・水が赤褐色に濁る場合、錆の剥離・流出が原因。
・鋳鉄管や鋼管の内部腐食が進行しているサイン。
・スケール堆積や砂の詰まりで断面が狭まり、流量が落ちる。
・ストレーナの詰まりが原因のことも多い。
給水メーターの直前にはストレーナ(ろ過網)が設けられており、ここにスケールや砂が溜まると出水不良を起こします。断水工事の後などは以下の手順で点検・清掃を行います。
※ 異物が多く出る場合は、給水管の老朽化や配水管工事の影響を疑い、専門点検を行う必要があります。
・給湯器や蛇口カートリッジの細い通水路が詰まり、温度不安定や水圧低下が起こる。
・トイレタンクのボールタップ・フロート弁に付着し、水漏れや止水不良を招く。
・洗濯機・食洗機のフィルターに詰まり、誤作動やエラー表示が出ることもある。
・配水管工事後や断水復旧後は、最初の通水時に蛇口を全開にして濁水を排出
・年1回程度、メーターのストレーナを確認・清掃
・古い亜鉛めっき鋼管は更新を検討(樹脂管・ステンレス管へ)
・末端の使用頻度が低い蛇口も、定期的に通水して滞留を防ぐ
給水管内の異物は、経年劣化・工事・圧力変化などさまざまな要因で発生します。スケールや砂の蓄積は放置すると流量低下や機器不良の原因となるため、定期的な清掃と管更新の判断が重要です。赤水や出水不良が続く場合は、配管内部の状況を点検し、早めに対処しましょう。
透明な水を維持するには、配管内部の見えない汚れにも定期的な意識と手入れが欠かせません。
